縦にすれば省スペースになる。けれど、「どう支えるか」によって、使い勝手や安心感は大きく変わります。
そこで多くの人が感じるのが、
「なぜクランク? ペダル?」
という疑問です。
この発想は、単なる思いつきではありません。
もっと別のところで支えられないか考えながら、失敗しながらたどり着いた答えです。
ヨーロッパで見た「縦にする文化」
20年以上前、飛行機に自転車を積んでヨーロッパを旅しました。
都市部ではシェアサイクルが当たり前のように走り、鉄道の車内には自転車を吊すスペースがあり、住宅でも自転車が天井から吊されている光景は珍しくありません。「自転車を縦にする」こと自体が、特別な行為ではない文化。
その姿を見て、「自転車とのつきあい方が上手だな」と感じました。
一方で、日本で見かける縦型スタンドは、ガレージ用途が前提のものが多い。
場所を取り、デザインは無骨で、価格も高い。しかも多くが、ホイールを引っ掛ける、吊す方式。
その時代に広まりつつあったカーボンホイールやディープリムでは使えないもので、室内で使うには違和感を覚えるものばかりでした。
「ホイール以外で支えられないか」
この違和感が、ずっと頭に残っていました。
ヒントは、道ばたのロードバイクだった
あるとき、ロードバイクを道ばたに止める場面で見かけたのが、
ペダルを縁石に押しつけて支えるという何気ないやり方でした。
ペダルって、逆回転はクルクル回るけど、止まっていれば前には動かない。これつかえる。
「ここで支えられれば、ホイールに触れなくて済む」
なぜ、ペダルは自然に噛み込むのか
クランクで支える構造は、とてもシンプルです。
自転車を縦にすると、重心の関係でハンドル側へ倒れようとする力が働きます。
このとき、ストッパーに掛かったペダルは、順回転方向へ回されようとします。
しかし後輪は、床に接して止まっています。
そのためクランクは、それ以上回ることができません。
行き場を失った力は、
ペダルをストッパーに押し付ける方向へ変わります。
強く押さえつけなくてもいい。
ガチガチに固定しなくてもいい。
自転車自身の重さが、そのまま固定力になる。
倒れようとする力を、そのまま「支える力」に変えている構造です。
ペダルで固定することで得られるメリット
ホイールやスポークに触れない
カーボンホイールやディープリム、スポークに干渉しません。
保管時も取り出し時も、デリケートなパーツを気にせず扱えます。
壁面にぴったり寄せられる
前輪をフックする必要がないため、両輪を壁に寄せて設置できます。
奥行きに無駄なスペースが生まれません。
操作がとてもシンプル
設置時に必要な操作は、ペダルを逆回転させるだけ。
前輪を固定する操作はありません。
段差がなく、出し入れがスムーズ
ペダル固定だけでガッチリ固定されるので、自転車を持ち上げて台に乗せたり、後輪を挟み込む必要がありません。
「外し方」は、使いながら気づいた
初期の試作品では、ストッパーを上に動かすしてペダルを外す可動式を考えていました。
しかし届いた試作品は、思ったように動きません。外そうと動かしているうちに、後輪が浮いた瞬間、スッと外れました。
後輪が浮けば、自然と力が抜ける。
それだけのことでした。
